ニッポンの産後ケア

【産後ケアリストの必要性と活躍の場.10】
〜DV(ドメスティック・バイオレンス)被害と産後ケアのポイント〜

産後ケアリストがケアしている産後ママが、DV(ドメスティック・バイオレンス。以下「DV」といいます)の被害にあっていることに気づくケースもあります。
現在、DV被害者の多くは女性で、DVの相談件数は年々増加しています。

DVとは、同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力のことで、近年では婚姻の有無を問わず、元夫婦や恋人など近親者間に起こる暴力全般を指す場合もあります。
日本では、古くからの家族感や、司法機関の介入により関係が破綻することへの危惧、犯罪性の認識の欠如などから、従来、「近親者からの暴力」について刑事介入がなされることは稀でした。
しかし、2001年10月から「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(いわゆる「DV防止法」)が施行され、人々の意識が少しずつ変化していくことが期待されています。

DVは、「身体的暴力」に加え、「経済的暴力」「社会的隔離」「性的暴力」「精神的暴力」があります。
「身体的暴力」(虐待)は、物理的な暴力行為をすることだけでなく、必要な冷暖房や衣服を差し控える、必要な医療を差し控えるなども含まれます。
「経済的暴力」は、生活費を与えない又は著しく制限する、無計画な買い物や借金を繰り返す、仕事を制限するなどをいいます。
「社会的隔離」は、電話や手紙の相手や頻度を制限する、外出を制限するなどが挙げられます。
「性的暴力」(虐待)は、性交を差し控えるあるいは逆に強要する、といったことだけでなく、過度な嫉妬も含まれます。
「精神的暴力」(虐待)は、終始行動を監視する、電話やメールなどの通信履歴をチェックする、他人の前で欠点をあげつらう、無視する、出て行けと脅すなどがあります。

産後ケアリストとしては、DVに関心を持つこと、暴力は許されない行為であることを「常識」とするのが大前提です。
その上で、ケアのポイントとして、DVを発見した場合は、まず被害者に相談窓口(人権相談所、人権ホットラインなど)の情報を提供するように努めます。ご本人の同意を得て、警察又は配偶者暴力相談支援センターに通報することも有効です。

また、DVを受けている方の中には「自分が悪い」と思っている方も少なくありません。「我慢が足りないのよ」「あなたにも原因があるのでは?」といった言葉がけはせず、「あなたは悪くない」と声をかけることも重要です。

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